2024年9月11日

【施工事例】天井断熱リフォームの効果は?数値比較や費用相場を解説

  • コラム
天井断熱リフォーム

今回は、天井断熱リフォームの効果や施工方法、費用相場、屋根断熱との違いについて、実際の施工事例を交えながら解説しています。また、長期優良住宅化リフォーム推進事業(補助金制度)に採択されたお家の各断熱性能の数値変化もご紹介しています。

天井の断熱リフォームを検討中の方や、どの断熱リフォームが適しているのかわからない方、実際にどれくらいの効果があるのかお知りになりたい方は、ぜひ参考にご覧ください。

天井断熱リフォームの効果

天井断熱とは、天井のすぐ上に断熱材を施工することを指します。天井断熱の効果をお伝えするために、私たち旭ホームズでは「天井断熱は鍋で言うとフタの役割で、暖かい熱が上昇して抜けていくことを防いでくれる」とご説明させていただいております。

夏の気温上昇が激しい昨今、真夏日と熱帯夜が1週間続くことがざらにありますが、天井の断熱性能が低い、つまりフタの断熱機能が低いと、暖められた外気が屋根から居室に侵入し、暑くて寝苦しい夜が続きますし、だからといってエアコンを強めにかけて寝ると、夏風邪を引く原因にもなります。

天井断熱はこのような夏場の熱の侵入を防ぎ、さらに冬場は室内で暖まった空気を外へ逃がさない役割を果たすことで、快適な住まいと、省エネルギーな空間を作り出してくれるのです。

天井断熱リフォームの施工方法

天井断熱のリフォームには、主に3つの方法があります。

【天井断熱リフォームの施工方法】

  1. 天井裏に潜り込んで断熱材を敷く
  2. 天井裏に潜り込んで断熱材を吹き込む
  3. 天井を壊して下から断熱材を天井に置く

使用する断熱材の種類については、施工方法や断熱効果、予算、付加効果(防火・防音など)とのバランスを見ながら選択することになりますが、一般的にはセルロースファイバーやグラスウール、ロックウールといった繊維系断熱材を使用します。

私たち旭ホームズでは天井裏に潜り込んで木質繊維系のセルロースファイバーを吹きこぼす施工が多い傾向です。およそ200〜300mmの厚みで施工しています。

セルロースファイバー吹き付けによる天井断熱の施工事例

▼天井断熱工事前の状態

天井断熱工事前の状態

▼天井断熱工事中の様子

天井断熱工事中の様子

▼天井断熱工事後の状態

天井断熱工事後の状態

【豆知識】断熱材の種類について

断熱材には、無機繊維系や木質繊維系、発泡プラスチック系、天然素材系があります。

日本の住宅で最も多く使用されているのが無機繊維系断熱材のグラスウールで、価格も中間あたりに位置します。防火性や防音性といった付加機能も程よくある断熱材となっています。

木質繊維系のセルロースファイバーは古紙を再利用した環境に優しい素材で、天井断熱のような吹き付け工法で主に使われる断熱材です。調湿性に優れ、さらに防火性能や害虫予防にも効果が期待できます。

その他の断熱材の特徴はコラム「床下に断熱材は必要?床断熱の目的や断熱材の特性について」にて詳しくご紹介していますので、参考にご覧ください。

天井断熱と屋根断熱の違い

天井断熱が天井のすぐ上に断熱材を施工するのに対して、屋根断熱は屋根に対して断熱材を施工します。

例えば、ロフトや屋根裏部屋といった空間のある部屋、屋根に合わせた勾配天井(傾斜天井)を採用している部屋、天窓を設けている部屋では天井断熱ができませんので、屋根に断熱材を施工するのです。

施工方法の違い

施工方法の違い(吹き付けによる屋根断熱)

天井断熱は天井の上に断熱材を施工しますが、屋根断熱では断熱材を屋根の構造部分に施工する充填断熱か、屋根を外側から断熱材で覆う外張り断熱の2つの選択肢があります。

上記の写真の事例は、吹き付け工法(充填断熱)による屋根断熱になります。

断熱材の違い

充填断熱では天井断熱と同じく繊維系断熱材を使用しますが、外張り断熱ではパネル状の断熱材を貼り付けていく形となりますので、壁の外張り断熱と同様に押し出し法ポリスチレンフォームなどの発泡プラスチック系の断熱材を使用するのが一般的です。

関連記事:壁の断熱リフォームは何をする?費用相場や補助金は?

天井断熱リフォームの費用相場

天井断熱リフォームの費用相場は、使用する断熱材の種類や必要となる断熱材の量によって変動します。さらに、既存の建物状況によって耐震工事や気流止めといったその他のリフォームも必要となると、その分の費用も発生します。

その上で、天井断熱だけを見た費用感の目安としては、30坪前後の延べ床で60〜70万円程度とお考えいただければと思います。

なお、別の箇所の断熱リフォームにかかる費用の目安は、壁の断熱リフォームで300〜400万円程度(30坪前後の外張り断熱)、窓の断熱リフォームで100〜200万円程度(20箇所前後)、床の断熱リフォームで40〜50万円程度(30坪前後で解体・処分・下地・床材は含まず)です。

天井断熱リフォームは比較的コストパフォーマンスが高い断熱リフォームだと言えますので、家全体の断熱性能をアップさせたい場合はとてもおすすめです。

天井断熱リフォームに活用できる補助金制度

天井断熱リフォームでは「子育てエコホーム支援事業」と「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の2つの補助金制度が活用できる可能性があります(2024年現在)。

“可能性がある”というのは、補助金を受けるには、まず提示されている要件に合致すること、さらに国が設けている予算に到達していないこと、そして適合していると評価される必要があるからです。

また補助金の多くは、利用者(施主)ではなく事業者から申請しなければならず、さらに各補助金制度に登録している事業者しか行えません。各補助金の公式サイトで検索または事業者に直接問い合わせるのが確実でしょう。

※補助金は毎年内容が変更されますので、公式サイトにて最新の情報をご確認ください。

子育てエコホーム支援事業

子育てエコホーム支援事業は、主に子育て世帯向けの補助金制度で、天井や屋根の断熱リフォームの他にも、外壁・床・窓などの開口部の断熱リフォームも対象となります。

補助金の額は原則1戸あたり最大20万円までで、指定の条件に該当する場合はさらに引き上げることが可能です。

私たち旭ホームズは子育てエコホーム支援事業の登録事業者で、採択実績もあります。お気軽にご相談ください。

【子育てエコホーム支援事業の概要】

対象子育て世帯・若者夫婦世帯
リフォーム内容屋根・天井・外壁・床・開口部の断熱改修
補助金原則1戸あたり最大20万円まで
※指定の条件に該当する場合は引き上げ可能
参考:住宅省エネ2024キャンペーン|子育てエコホーム支援事業事務局

長期優良住宅化リフォーム推進事業

長期優良住宅化リフォーム推進事業は、既存住宅や住宅ストック(中古物件)のリフォームを対象とした補助金制度です。

子育てエコホーム支援事業は「天井断熱だけ」のように部分的なリフォームも対象ですが、こちらの長期優良住宅化リフォーム推進事業は家全体の断熱リフォームのみが対象となる点に注意してください。

受けられる補助金の額は、評価基準型で1戸あたり80万円、認定長期優良住宅型で1戸あたり160万円です。なお、一定の要件を満たした場合は1戸あたり50万円が加算され、最大210万円の補助が受けられます。

こちらも同じく登録事業者で、採択実績もありますので、お気軽にご相談いただければと思います。

【長期優良住宅化リフォーム推進事業の概要】

対象既存住宅の所有者
※他いくつかの要件を満たす必要あり
リフォーム内容下記に該当する性能向上リフォーム
【必須項目】
①構造躯体等の劣化対策
②耐震性
③省エネルギー対策

【任意項目】
④維持管理・更新の容易性
⑤高齢者等対策(共同住宅のみ)
⑥可変性(共同住宅のみ)
補助金評価基準型:1戸あたり80万円
認定長期優良住宅型:1戸あたり160万円
※一定の要件を満たした場合1戸あたり50万円が加算
参考:【PDF】令和6年度 長期優良住宅化リフォーム推進事業に関する説明資料|国土交通省住宅局

天井断熱リフォームの施工事例

天井断熱リフォームの施工事例(素の家リノベーション『団欒の家』)

素の家リノベーション『団欒の家』

こちらは築35年以上の和風建築をリフォームした事例です。先ほどご紹介した長期優良住宅化リフォーム推進事業に採択されました。

インスペクション(住宅の状態を第三者が客観的に診断するための調査)を行い、家全体の耐震補強、断熱改修を実施。建物の性能を上げて長寿命化し、末永く快適に健康的に暮らすための工夫が詰まったお家です。

【断熱性能の比較】平成25年基準で試算

BEFOREAFTER
外皮平均熱貫流率Ua値=3.3(NG)Ua値=0.56(OK)
冷房期の
外皮平均日射熱取得率
ηA値=8.8(NG)ηA値=1.7(OK)
単位温度差あたりの
外皮熱損失量
q値=1031q値=192.1
単位日射強度あたりの
冷房期日射熱取得料
mc値=26.91mc値=5.55
単位日射強度あたりの
暖房期日射熱取得料
mh値=61.53mh値=7.77

詳しい施工内容およびリフォームの経過>

関連記事:【断熱性の基準】断熱等性能等級とは?HEAT20やZEHとの違いなど

天井断熱リフォームで大切なこと

断熱リフォームは「どの断熱材を使い、どの工法で施工するか?」という点ももちろん大切なのですが、やはり一番重要なことは「隙間のない丁寧な施工」です。これは天井断熱にかかわらず、全ての断熱リフォームに共通します。

断熱性能を高めるには、断熱材の断熱効果が高ければ良いというわけではなく、それ以上に、意図せぬ隙間を作らない丁寧な施工が求められます。いくら効果の高い断熱材を使っていても、隙間が生じていてはあまり意味がないからです。

そのため、断熱性と気密性をセットとして考え、両方の性能を同時に高めていかなければなりません。

旭ホームズの高断熱仕様>

特に築年数が経っているお家では気密性が十分でないことがあり、断熱リフォームと同時に気流止め※を行うケースもあります。

現在のお悩みやご予算などをお伺いした上で、適した断熱リフォームをご提案しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

※気流止めとは

壁内の気流を止める施工。
日本に古くからある木造建築(在来工法)は、壁と天井、壁と床の取り合い部分に隙間があります。この隙間があることで、天井・壁・床に気流(風)が生じ、断熱性能を下げてしまう原因となっているので、気流止めを行って天井裏に抜ける空気を遮断し、断熱性能を高めます。

広島で新築・リフォームをするなら旭ホームズへ

広島で新築・リフォームをするなら旭ホームズへ

木の家が持つ素材や素地を生かし、その土地の持つ要素を生かして設計し、末永く素晴らしい暮らしができる家作り。それが旭ホームズのこだわりです。

広島近郊で、高断熱・高気密な注文住宅をお考えの方や、性能向上リノベーションを検討されている方は、ぜひ一度、旭ホームズのモデルハウスへお立ち寄りください。

所在地〒731-5101広島県広島市佐伯区五月が丘2丁目8
定休日日・祝・水
※事前のご予約があればご見学はいつでも可能です。
※お休みの3日前までのご予約をお願いいたします。

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