2019年3月7日

吹抜けって寒くないですか?とよく聞かれます。

  • 疑問にお答え

名藤です。

現在解体工事中の佐伯区の現場ですが、今朝の時点で建物は無くなり、基礎や土間部分を残すのみとなりました。
今週中には完了し、月末に地鎮祭を行って基礎着工となります。

こちらのお家は団地内に建ちますが、真南向きで南側の建物からの距離もありしっかりと太陽の恩恵を受けられるお家になりそうです。
事前にCADソフトと温熱ソフトで日射熱の取得と暖房負荷のシュミレーションをしていますが、真南には大きな窓を確保して冬の暖房かわりになる様にしています。

あと会社には下模型も用意して窓面のイメージが分かりやすい様にしています。

こちらのお家には吹抜けがありますが、よく

『吹抜けがあると冬、寒くないですか?』

と聞かれます。

確かに昔のお家では吹抜けがあるLDKの冷暖房が効かなったり、冬は床面から冷えたり、上階から冷たい空気が下りて来るのが分かったり、夏は西日が入ってきて暑かったりと悪いイメージが多いと思います。実際に昔のお家ではその様な室内環境になる事が多かったと思います。

吹き抜けの上部にシーリングファンなどを設置して空気の力を使ってパワープレイで暖気を下に抑え込んだり、冷気を2階に上げたりような工夫をしているお家も多いのではないでしょうか?

私達の会社ではよく吹き抜けのある間取りをご提案していますが、最初の間取りのプレゼンをすると上記の様な室内環境になるのではないかとお施主様からご質問が来る事も良くあります。

先にお伝えすると私たちの会社が作るお家では上記の様な寒い吹抜け空間にはならない様に工夫していますが、敷地の日射の特性を理解せずにプランニングしたり、また建物の温熱計算をしなかったり、
また断熱性の低い窓でご提案したりすると上記の様な寒い室内環境になってしまう可能性があるので注意が必要です。

その様な吹抜け空間にしない為には下記の様な部分を注意しています。

①建物の断熱性をしっかりとバランスよく確保する事
②窓を断熱性能が良い物にする事
③暖冷房計画を事前にシュミレーションする事
④吹抜けを介して、暖冷房、光を分けられるような間取りにする事

以上の様な点です。

①の建物の断熱性をバランスよく確保する事ですが、そもそも断熱性が低いお家の吹抜けは何をしても良い室内空間にはなりにくいです。
現在の省エネ基準の外皮性能で作っても正直良い空間にはなりにくいです。大型でパワフルな冷暖房を入れたら別ですがその分エネルギー費用がかかります。

高断熱の家は上下階の温度差が少なく快適な吹抜け空間になりますが、床、壁、天井の断熱性能のバランスも大切だと思います。
屋根の断熱材の厚み、性能は良いけど床、基礎の断熱材が弱かったりすると足元で不快な部分が出てくる事が多いです。
床、壁、天井の断熱材の性能、厚みをしっかりと確保しながらコストをバランスよく検討する事が重要です。コストの為に断熱性能を落とす事は吹き抜けのあるお家ではやめた方が良いと思います。
私達の会社ではまずその様なご提案はしていません。

続いて②の窓の断熱性ですが、窓は良い断熱性の商品が出てきていますが壁に比べると明らかに断熱性能は弱い部分になります。具体的に言うと窓は樹脂サッシの平均的な断熱性能で言えば、高性能グラスウールを採用した外壁の熱貫流率と比べると3~4分の1程度の断熱性能になります。
なのでとにかく断熱性の良い窓にする事は必須です。

また冬の日射熱取得をする為にはガラスの日射熱取得率も大切な要素です。南面なのに遮熱Low-Eのガラスを入れている建物をよく見ます。
これは冬の太陽高度の下がった時に太陽熱をあんまり入れないという無駄な事をしてしまっています。
方角が真南向きに近い事が重要ですが、真南向きなら冬は取り込み、夏は遮る事が庇の出幅を検討して設置する事で可能になります。
冬の吹抜けの日射熱のエネルギーは上下階の温度差を無くす事ができる要素になります。

③の暖冷房計画の事前のシュミレーションですが、吹抜けがあれば少ない冷暖房機器で広範囲の部屋を冷暖房できる可能性があります。
強力な冷暖房機器で賄う事も一つの方法ですが、できるだけジャストサイズで、省エネルギーで、機器コストも安い冷暖房機器で広範囲をまかなう方がお施主様にとってはメリットだと思います。

私達の会社では約30~35坪程度のお家であれば、夏は1階のLDKにある4.0kw程度のエアコン1台で暖房し、夏は2階吹き抜け付近にある2.8kw程度のエアコンで冷房する方法でまずご提案しています。
本当はエアコン1台で賄えるようにいつも考えていますが冷房と暖房の広がり方の違いがあるので2台設置を基本としています。
またお家が大きくなったり、小さくなったりすればまた再計算しますが、

【大切なのは事前に家の断熱性能を知り、最適な冷暖房機器を選択する事です】

続いて④の間取りについてですが、できるだけ室内の各部屋の仕切りも開放的な間取りをご提案しています。
吹抜けを熱や光の分配元、HUBの様な場所にしてそこから各部屋へ熱や光が配れれば効率的だと思います。

間取りのご要望によってできない事もありますが、ランマをご提案したり室内窓をご提案してりして何とか物理的に吹き抜けやホールと『繋がる』様に工夫しています。

吹抜けは上手に作れば合理的に室内環境を良くできる方法の一つです。
しかし上記の部分を考慮せずに作ると室内環境を悪くする方法にもなります。

単純な見た目の良さだけでなく、しっかりとした検討が必要だと思います。
ぜひ吹抜けに関してご質問があればお問合せ下さい。

以上、名藤でした!!

家づくりコラム

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